
2015年の第91回箱根駅伝(東京―箱根間 関東大学対抗駅伝)は、出場校は20校。
予選会で落ちた大学から16校各一人ずつ選ばれる選抜チームが復活するが、オープン参加となり名称も「関東学連選抜」から「関東学生連合」に変わった。往路、復路、総合のチーム記録も、各区間の個人記録も参考記録となる。
前回1-10位のシード校、東洋大・駒大・日体大・早大・青学大・明大・日大・帝京大・拓大・大東大と、予選会を1-10位で通過した神奈川大・国学院大・東海大・山梨学院大・中央学院大・上武大・中大・順大・城西大・創価大の20校である、創価大は念願の本戦初出場である。。
出場校中、最多出場は中大の89回、次が日大の85回、早大は84回である。
総合優勝の回数は中大が14回でトップ、早大が13回で続く、次が日大の12回、順大が11回、駒大は最近14年間で6回、東洋大は5年間で4回と急速に優勝回数を伸ばしている。
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それでは、出場校の戦力を検討する。
○優勝候補一番手は駒大
駒大 「総合優勝は駒大で確定的」が関係者の一致した声である。10000mは学生唯一の27分台(27.49)、ハーフは日本歴代3位の60分50秒の学生長距離の頂点村山謙太を「花の2区」に、1万米28.05の中村(前回1区2位)が1区、新人で4区1位の中谷を3区とベスト3をスタートから並べ、5区の上りは前回3位の馬場がいて往路優勝は濃厚。復路も6区5位西沢から、7区3位の西山、9区は10区2位の其田と実績ある選手を配し死角は見当たらない。
11月の上尾ハーフで62分18秒の新人工藤は4区でデビュウ、区間賞を狙う。
大八木監督は総合優勝の確率は6割と言っているが、かなり控えめだ。
○追うのは、東洋大・明大・青学大・早大
第2グループはこの4校だが、優勝確率は各1割か、ワセダは11/3の全日本大学駅伝でシード落ちの7位で関係者の評価は低いが、5区山本・6区三浦の上り下りが強く、記者はレース展開によっては優勝争いにからめると見ている。
東洋大 前回は2位駒大に4分34秒の大差をつけて総合優勝。
10000m27分台のエース設楽兄弟、10区1位の大津、6区4位の日下の主力が抜けて、選手層の厚さを誇る東洋もさすがに戦力ダウンが大きい。
1区田口(前回3位)に続き、2区服部勇馬(3位)3位服部弾馬(7区1位)を並べ駒大を追うが、5区・6区の山の人材に不安がある。「山の神」柏原には及ばなくとも、スペシャリストの隠し玉でもないと連覇は遠い。遊行寺の坂で快走、8区で断トツ1位の高久が5区にまわればかなりやれそう。9区4位の上村(1万米28.44)も健在。ワセダに立ち塞がる大きな壁だ。
明大 近年で最強の陣容で1949年以来の総合優勝に挑む。全日本大学駅伝で駒大に次ぐ2位となり評価は高い。大六野(1万米28分40秒・前回2区5位)、文元(28.39、1区4位)、有村(28.41、8区2位)、八木沢(5千米13.28、3区2位)の4年クアルテットに1万でチーム1の28.38の横手を加えた5人は強力、他にも山田速人、山田稜、牟田ら1万28分台がズラリ、走力では駒大と遜色ない。
定番の1区文元、2区大六野から3区横手のオーダーで駒大を追う1番手だが、問題は山、前回は5区は横手を起用したが23人中19位、逆に6区広瀬は区間賞だったが卒業で抜けた。
本命駒大の5区6区より強い選手を配置するのは難しい、総合優勝には平場でどれだけ駒大に勝てるかにかかる。5千米で学生最高記録を持つ八木沢が故障上がりで完調でないのも気がかり。
青学大 前回5位、今年の全日本では過去最高の東洋の上の3位になり、チーム力が着実に上がっているのを見せつけた。1万米28分30秒、13年新人で3区4位の久保田が完全復活(全日本2区3位)、関東インカレ2部のハーフで1.2の神野(1万米28.41、2区6位)、一色(28.23、1区6位)、1万米チーム最速の藤川(28.20)、が主力。1.2区の久保田、一色で好位置を占め、5区は前回11位の高橋もいるが、エースの神野に託しそう。1万米28分台は他に小椋、秋山、川崎といるが、全日本6区1位の川崎が故障したらしい。
上りの神野が駒大・馬場に勝つのが初優勝の条件。2・3年生主体のチーム優勝狙いは次回か。
早大 就任して10年の渡辺駅伝監督が今回の箱根駅伝で勇退、中大と並ぶ14回回目の総合優勝で花道を飾ろうと、山本主将を中心にチーム一丸となっている。超エース大迫がぬけたが、
10人のレベルは高い水準で平均している。「早大チームの陣容」ご参照。、
○シード権圏内は東海大・山学大・大東大
東海大 予選会は神大、国学大に次ぐ3位通過だが、全日本大学駅伝で、ワセダの上位6位に入りシード獲得、評価がにわかに高まった。
ワセダ同様、目立ったエースはいないが、佐久長聖高校から佐藤悠基・大迫ら逸材を次々に大学に送り込んだ両角監督が就任して3年目、堅実な走りをするチームができてきた。
記者は上記5校を追うチームと評価している。
1区と5区が予定されている白吉と宮上がハーフ62分台、3区予定の土屋、復路9・10区
に配されそうな吉川・中川が63分台と長い距離得意のロード巧者を揃えている。シード圏内。
山学大 前回は2区オムワンバの疲労骨折でよもやの途中棄権の不運に見舞われた。
予選会は4位だったが、オムワンバ(1万米28分0秒、ハーフ61分15秒)と井上(28.19、61.39)の大砲を2区5区のポイント区間に配して、シード圏内にある。
参考記録ながら前回10区を4番目の記録で走った阿部が1万米28分台、ハーフ62分台で両エースに続く。前回に続き1区に来そうな田代も1万米28.38、全日本1区11位の佐藤孝哉も28.46のタイムを持つ。昨年の高校駅伝優勝の付属校出身の1年では市谷、上田がデビュウしそうだ。今大会は近年ではまれな寒さが予想される、昨年のこともありオムワンバが抑え過ぎで十分な力を発揮できるかやや心配だが、総合10位以内は確実だろう。
大東大 前回10位、最後の1つのシードに滑り込んだ、今回も厳しいシード権争いは免れないが、10位以内には入るチームと見られる。
市田宏(ハーフ63分10秒)、孝(62.03)兄弟の1・2区が固まっているのが強み、
全日本では1区孝、2区宏コンビで良い流れに乗り、終盤までシード圏内の6位以内にねばっていた。2人以外の1万28分台3年大隅も伸びてきた、主要区間での活躍が期待される。
市田ツインズ以外の4年生池田(前回5区6位)、平塚(6区6位)の「山」の経験者が心強い。
○シード目指して熾烈な戦い シード校日大・帝京大・拓大
VS 予選通過校 神奈川大・国学院大・中大・順大
シード権をかけて闘う各校の力は紙一重、予選会1位の神大、2位の国学大とシード組
日大(前回7位)、帝京大(8位)、拓大(9位)の熾烈なレースが、東海大・山学大・大東大を巻き込むことも十分考えられる。記者は、神大、国学大の予選会組のどちらか1校、シード組では絶対的エースのキトニ―を擁する日大がシード確保有力と見る。箱根駅伝では自他ともに許す名門、中大、順大にもシード奪回のチャンスはある。
日大 前回は7位で5年ぶりのシード権を獲得したが、今年もシードをかけた厳しい戦いとなる。前回はケニヤ留学生キトニ―を5区に起用したが、区間10位と学生トップの走力からすると不満な成績だった、日本インカレ1万米連覇の走力を生かすには、正攻法で2区、あるいは1区か3区でチームを上位に持ってくる役割を負わせた方がよさそうだ。1区12位の3年荻野が日本インカレ5千米5位に入るなど大きく伸びた、連続の1区で先頭集団でキトニ―につなげば3区までトップ維持も可能だ。記者はこのオーダーを推したい。トップ集団でタスキを受ければ3区は前回4区12位の石川が粘る。10区4位の高松7区14位の大門、8区14位の村越と経験豊富な4年生がいてシードは行けそう。
帝京大 3年連続のシード入りで、「駅伝強豪校」と一目置かれるチームになった、今大会は本当の「強豪」の地位を確立できるか試練のレースとなる。1万米の同大記録(28.40)を持つ、トップランナー熊崎の負傷欠場が大きな痛手。
1区か2区を予定されるキャプテン柳原(1万米28分50秒)の働きがチームの運命を左右する。早川(4区4位)竹本(5区14位)は実績あり、他にもロードの鬼がそろう。
拓大 前回は予選会9位通過から本戦も9位のシード入りと驚かせた。岡田(監督)マジックの面目躍如の躍進だったが、2区ダンカン・モゼ(区間4位)の17位→7位の10人抜きが光った。そのモゼが退学して戦力は急落したとの評判だが、岡田監督は、チームを「箱根仕様」に仕上げたと自信を見せる。1万米28分台は佐護主将(4区8位)だけだが、20kmなら5千、1万の持ちタイムとは別、と徹底的に走りこんだチームは侮れない。5区9位の尾上6区10位の大島が頼り。
神大 全日本・箱根の両予選会1位、安定したチーム力は評価されている。しかし、重要区間で有力校のエースと互角に戦えるエースが不在なのが両駅伝で苦戦を招いている。
全日本は10位、予選で勝った東海大の6位、大東大の8位、順大の9位に負けている、
前回の箱根は予選2位で本戦でのシード獲得が十分期待されたが18位に沈んだ、エース不在のチーム状態の弱みが露骨に出ている。今大会のチーム構成も平均型で前回とあまり変わっていないが、10人の走力が格段に上がっており、シード獲得は濃厚とみられる。
予選会個人3位の柿原は1万米28分33秒と他校のエースと遜色ないレベルに伸びてきた、前々回新人ながら7区で区間賞をとった我那覇(28.46)が1区10位くらいで2区柿原にリレー、3区はチーム1のスピードランナー西山(前回9位)で10位以内を確保、5区が中位を保てれば、復路の落ち込みの不安が少ないチーム、10年ぶりシードが近い。
国学大 11年12年と下馬評以上の結果の10位で連続してシード権をとったが、前々回14位、前回17位と成績を落とした。今大回のチームも傑出したエースはいないが、全体的に粒ぞろい、堅実な走りで10位は狙える。目立たないが、終始シード争いの軸になりそうなチーム。成長著しい予選8位の2年蜂須賀(1万米28分55秒、8区13位)、とハーフ63分台、予選10位の沖守を主要区間に配し、同じくハーフ63分台の湯川(6区9位)、広川(7区6位)の区間上位の走りで3年ぶりシードを狙う。
中大 予選会前は故障者の続出で、最多出場、最多優勝の名門が予選落ちの危機という声もあったが、主力の新庄・徳永が20位以内の好走、2年生4人の頑張りなどで7位通過で連続出場を86回に伸ばした。箱根が近づき予選会に欠場した永井、町沢が復帰しチーム力は急上昇していると聞く。1区徳永(7区7位)、2区に関東インカレ5千米で日本人トップのエース新庄(1万米28.37、1区14位)は確定している。5区の小谷(前回13位)は2回目で相当なタイム短縮が期待できる。往路を10位と僅差で行ければ復路は永井(13年8区参考記録ながら1位)、多田(前回9区9位)の4年生の頑張りがシードを手繰り寄せる。
順大 予選会は主力の的野の大ブレーキなどもあり8位通過の下位通過だったが、9人までが20kmを62分以内で走り、穴のない布陣で本戦では上昇を感じさせる。しかし1万米28分台は松村優樹(1区9位)だけ、予選会で20位以内はなしで、ポイント区間での劣勢は否めない。平均した力の10人が堅実につないでシードを目指す。
厳しい戦い、中学大・日体大・上武大・城西大
今大会は、中下位校の力の差は僅少、中学大、上武大、城西大にも10位のシード入りのチャンスはある。
中学大 予選会は5位通過、個人では及川が12位、潰滝(つえたき)が14位、塩谷が19位と上位に入った。エースは潰滝(1万米28分38秒、1区12位)、前回と同じ1区が予想されるが、積極的に先頭集団を引っ張るだろう。1区から10位前後につけ、混戦のシード争いから、4年連続出場の9区山田(前回10区7位)で浮上を目論む。
日体大 13年総合優勝、前回3位の日体大が、主力の卒業と超エース山中の故障で苦しんでいる。13年優勝の立役者服部翔太(前回5区2位)をはじめ9区1位の矢野ら箱根のメンバー5人が抜けた戦力ダウンは甚大、加えて前回1区区間賞の3年山中が故障で走れず、今大会では
シード入りは至難だ。しかし簡単に引き下がるチームではない、全日本も4区まで18位から
11位まで盛り返した。日本インカレ5千米6位の加藤光を1区、上尾ハーフで62分台を出した奥野を2区、13年優勝時1区7位の勝亦を3区で中位につけ、後半にハーフ63分台の
木村勇貴、山本航平でシード確保を狙う。
上武大 予選会は6位で無事通過したが、全日本大学駅伝では順大、神大・中央学大に遅れをとる13位、箱根の闘いの厳しさを感じさせる。予選会のチームトップ山岸は全体の46位、他校
のエース級との力の差が大き過ぎる。予選会で個人80位以下、チームで9・10番目の倉田
佐藤瞬の立ち直り次第でシードへの道が開ける。1万米の持ちタイムはともに28分台、エース
にふさわしい走りを期待したい。1年では井上と坂本が使われそう、ともに1万米は29分30秒、将来が楽しみな新人。
城西大 1枚看板の村山紘太と以下の選手の格差が大き過ぎる。村山はアジア大会5位など日本を代表するランナーに飛躍、予選会は山学大オムワンバに大差をつけトップ、全日本大学駅伝は1区で1位の兄の駒大・謙太と同タイム、学生長距離のトップと言ってよい存在になった。
今大会は「花の2区」で駒大・謙太との兄弟対決、チームメイトに勢いをつける走りをするだろう。1万米28分49秒の副将格の松村元輝の不振が痛い。
念願の初出場
創価大 念願の本戦初出場、予選では9位城西大と2分差、最下位。
エース山口周平は前々回関東学連で出て4区6位、唯一の経験者、2区が確定している。13年のインターハイ3000m障害優勝の新人大山が5千米13分58秒の創価大記録をつくっている、
3区に起用されそうだ。
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○優勝候補一番手は駒大
駒大 「総合優勝は駒大で確定的」が関係者の一致した声である。10000mは学生唯一の27分台(27.49)、ハーフは日本歴代3位の60分50秒の学生長距離の頂点村山謙太を「花の2区」に、1万米28.05の中村(前回1区2位)が1区、新人で4区1位の中谷を3区とベスト3をスタートから並べ、5区の上りは前回3位の馬場がいて往路優勝は濃厚。復路も6区5位西沢から、7区3位の西山、9区は10区2位の其田と実績ある選手を配し死角は見当たらない。
11月の上尾ハーフで62分18秒の新人工藤は4区でデビュウ、区間賞を狙う。
大八木監督は総合優勝の確率は6割と言っているが、かなり控えめだ。
○追うのは、東洋大・明大・青学大・早大
第2グループはこの4校だが、優勝確率は各1割か、ワセダは11/3の全日本大学駅伝でシード落ちの7位で関係者の評価は低いが、5区山本・6区三浦の上り下りが強く、記者はレース展開によっては優勝争いにからめると見ている。
東洋大 前回は2位駒大に4分34秒の大差をつけて総合優勝。
10000m27分台のエース設楽兄弟、10区1位の大津、6区4位の日下の主力が抜けて、選手層の厚さを誇る東洋もさすがに戦力ダウンが大きい。
1区田口(前回3位)に続き、2区服部勇馬(3位)3位服部弾馬(7区1位)を並べ駒大を追うが、5区・6区の山の人材に不安がある。「山の神」柏原には及ばなくとも、スペシャリストの隠し玉でもないと連覇は遠い。遊行寺の坂で快走、8区で断トツ1位の高久が5区にまわればかなりやれそう。9区4位の上村(1万米28.44)も健在。ワセダに立ち塞がる大きな壁だ。
明大 近年で最強の陣容で1949年以来の総合優勝に挑む。全日本大学駅伝で駒大に次ぐ2位となり評価は高い。大六野(1万米28分40秒・前回2区5位)、文元(28.39、1区4位)、有村(28.41、8区2位)、八木沢(5千米13.28、3区2位)の4年クアルテットに1万でチーム1の28.38の横手を加えた5人は強力、他にも山田速人、山田稜、牟田ら1万28分台がズラリ、走力では駒大と遜色ない。
定番の1区文元、2区大六野から3区横手のオーダーで駒大を追う1番手だが、問題は山、前回は5区は横手を起用したが23人中19位、逆に6区広瀬は区間賞だったが卒業で抜けた。
本命駒大の5区6区より強い選手を配置するのは難しい、総合優勝には平場でどれだけ駒大に勝てるかにかかる。5千米で学生最高記録を持つ八木沢が故障上がりで完調でないのも気がかり。
青学大 前回5位、今年の全日本では過去最高の東洋の上の3位になり、チーム力が着実に上がっているのを見せつけた。1万米28分30秒、13年新人で3区4位の久保田が完全復活(全日本2区3位)、関東インカレ2部のハーフで1.2の神野(1万米28.41、2区6位)、一色(28.23、1区6位)、1万米チーム最速の藤川(28.20)、が主力。1.2区の久保田、一色で好位置を占め、5区は前回11位の高橋もいるが、エースの神野に託しそう。1万米28分台は他に小椋、秋山、川崎といるが、全日本6区1位の川崎が故障したらしい。
上りの神野が駒大・馬場に勝つのが初優勝の条件。2・3年生主体のチーム優勝狙いは次回か。
早大 就任して10年の渡辺駅伝監督が今回の箱根駅伝で勇退、中大と並ぶ14回回目の総合優勝で花道を飾ろうと、山本主将を中心にチーム一丸となっている。超エース大迫がぬけたが、
10人のレベルは高い水準で平均している。「早大チームの陣容」ご参照。、
○シード権圏内は東海大・山学大・大東大
東海大 予選会は神大、国学大に次ぐ3位通過だが、全日本大学駅伝で、ワセダの上位6位に入りシード獲得、評価がにわかに高まった。
ワセダ同様、目立ったエースはいないが、佐久長聖高校から佐藤悠基・大迫ら逸材を次々に大学に送り込んだ両角監督が就任して3年目、堅実な走りをするチームができてきた。
記者は上記5校を追うチームと評価している。
1区と5区が予定されている白吉と宮上がハーフ62分台、3区予定の土屋、復路9・10区
に配されそうな吉川・中川が63分台と長い距離得意のロード巧者を揃えている。シード圏内。
山学大 前回は2区オムワンバの疲労骨折でよもやの途中棄権の不運に見舞われた。
予選会は4位だったが、オムワンバ(1万米28分0秒、ハーフ61分15秒)と井上(28.19、61.39)の大砲を2区5区のポイント区間に配して、シード圏内にある。
参考記録ながら前回10区を4番目の記録で走った阿部が1万米28分台、ハーフ62分台で両エースに続く。前回に続き1区に来そうな田代も1万米28.38、全日本1区11位の佐藤孝哉も28.46のタイムを持つ。昨年の高校駅伝優勝の付属校出身の1年では市谷、上田がデビュウしそうだ。今大会は近年ではまれな寒さが予想される、昨年のこともありオムワンバが抑え過ぎで十分な力を発揮できるかやや心配だが、総合10位以内は確実だろう。
大東大 前回10位、最後の1つのシードに滑り込んだ、今回も厳しいシード権争いは免れないが、10位以内には入るチームと見られる。
市田宏(ハーフ63分10秒)、孝(62.03)兄弟の1・2区が固まっているのが強み、
全日本では1区孝、2区宏コンビで良い流れに乗り、終盤までシード圏内の6位以内にねばっていた。2人以外の1万28分台3年大隅も伸びてきた、主要区間での活躍が期待される。
市田ツインズ以外の4年生池田(前回5区6位)、平塚(6区6位)の「山」の経験者が心強い。
○シード目指して熾烈な戦い シード校日大・帝京大・拓大
VS 予選通過校 神奈川大・国学院大・中大・順大
シード権をかけて闘う各校の力は紙一重、予選会1位の神大、2位の国学大とシード組
日大(前回7位)、帝京大(8位)、拓大(9位)の熾烈なレースが、東海大・山学大・大東大を巻き込むことも十分考えられる。記者は、神大、国学大の予選会組のどちらか1校、シード組では絶対的エースのキトニ―を擁する日大がシード確保有力と見る。箱根駅伝では自他ともに許す名門、中大、順大にもシード奪回のチャンスはある。
日大 前回は7位で5年ぶりのシード権を獲得したが、今年もシードをかけた厳しい戦いとなる。前回はケニヤ留学生キトニ―を5区に起用したが、区間10位と学生トップの走力からすると不満な成績だった、日本インカレ1万米連覇の走力を生かすには、正攻法で2区、あるいは1区か3区でチームを上位に持ってくる役割を負わせた方がよさそうだ。1区12位の3年荻野が日本インカレ5千米5位に入るなど大きく伸びた、連続の1区で先頭集団でキトニ―につなげば3区までトップ維持も可能だ。記者はこのオーダーを推したい。トップ集団でタスキを受ければ3区は前回4区12位の石川が粘る。10区4位の高松7区14位の大門、8区14位の村越と経験豊富な4年生がいてシードは行けそう。
帝京大 3年連続のシード入りで、「駅伝強豪校」と一目置かれるチームになった、今大会は本当の「強豪」の地位を確立できるか試練のレースとなる。1万米の同大記録(28.40)を持つ、トップランナー熊崎の負傷欠場が大きな痛手。
1区か2区を予定されるキャプテン柳原(1万米28分50秒)の働きがチームの運命を左右する。早川(4区4位)竹本(5区14位)は実績あり、他にもロードの鬼がそろう。
拓大 前回は予選会9位通過から本戦も9位のシード入りと驚かせた。岡田(監督)マジックの面目躍如の躍進だったが、2区ダンカン・モゼ(区間4位)の17位→7位の10人抜きが光った。そのモゼが退学して戦力は急落したとの評判だが、岡田監督は、チームを「箱根仕様」に仕上げたと自信を見せる。1万米28分台は佐護主将(4区8位)だけだが、20kmなら5千、1万の持ちタイムとは別、と徹底的に走りこんだチームは侮れない。5区9位の尾上6区10位の大島が頼り。
神大 全日本・箱根の両予選会1位、安定したチーム力は評価されている。しかし、重要区間で有力校のエースと互角に戦えるエースが不在なのが両駅伝で苦戦を招いている。
全日本は10位、予選で勝った東海大の6位、大東大の8位、順大の9位に負けている、
前回の箱根は予選2位で本戦でのシード獲得が十分期待されたが18位に沈んだ、エース不在のチーム状態の弱みが露骨に出ている。今大会のチーム構成も平均型で前回とあまり変わっていないが、10人の走力が格段に上がっており、シード獲得は濃厚とみられる。
予選会個人3位の柿原は1万米28分33秒と他校のエースと遜色ないレベルに伸びてきた、前々回新人ながら7区で区間賞をとった我那覇(28.46)が1区10位くらいで2区柿原にリレー、3区はチーム1のスピードランナー西山(前回9位)で10位以内を確保、5区が中位を保てれば、復路の落ち込みの不安が少ないチーム、10年ぶりシードが近い。
国学大 11年12年と下馬評以上の結果の10位で連続してシード権をとったが、前々回14位、前回17位と成績を落とした。今大回のチームも傑出したエースはいないが、全体的に粒ぞろい、堅実な走りで10位は狙える。目立たないが、終始シード争いの軸になりそうなチーム。成長著しい予選8位の2年蜂須賀(1万米28分55秒、8区13位)、とハーフ63分台、予選10位の沖守を主要区間に配し、同じくハーフ63分台の湯川(6区9位)、広川(7区6位)の区間上位の走りで3年ぶりシードを狙う。
中大 予選会前は故障者の続出で、最多出場、最多優勝の名門が予選落ちの危機という声もあったが、主力の新庄・徳永が20位以内の好走、2年生4人の頑張りなどで7位通過で連続出場を86回に伸ばした。箱根が近づき予選会に欠場した永井、町沢が復帰しチーム力は急上昇していると聞く。1区徳永(7区7位)、2区に関東インカレ5千米で日本人トップのエース新庄(1万米28.37、1区14位)は確定している。5区の小谷(前回13位)は2回目で相当なタイム短縮が期待できる。往路を10位と僅差で行ければ復路は永井(13年8区参考記録ながら1位)、多田(前回9区9位)の4年生の頑張りがシードを手繰り寄せる。
順大 予選会は主力の的野の大ブレーキなどもあり8位通過の下位通過だったが、9人までが20kmを62分以内で走り、穴のない布陣で本戦では上昇を感じさせる。しかし1万米28分台は松村優樹(1区9位)だけ、予選会で20位以内はなしで、ポイント区間での劣勢は否めない。平均した力の10人が堅実につないでシードを目指す。
厳しい戦い、中学大・日体大・上武大・城西大
今大会は、中下位校の力の差は僅少、中学大、上武大、城西大にも10位のシード入りのチャンスはある。
中学大 予選会は5位通過、個人では及川が12位、潰滝(つえたき)が14位、塩谷が19位と上位に入った。エースは潰滝(1万米28分38秒、1区12位)、前回と同じ1区が予想されるが、積極的に先頭集団を引っ張るだろう。1区から10位前後につけ、混戦のシード争いから、4年連続出場の9区山田(前回10区7位)で浮上を目論む。
日体大 13年総合優勝、前回3位の日体大が、主力の卒業と超エース山中の故障で苦しんでいる。13年優勝の立役者服部翔太(前回5区2位)をはじめ9区1位の矢野ら箱根のメンバー5人が抜けた戦力ダウンは甚大、加えて前回1区区間賞の3年山中が故障で走れず、今大会では
シード入りは至難だ。しかし簡単に引き下がるチームではない、全日本も4区まで18位から
11位まで盛り返した。日本インカレ5千米6位の加藤光を1区、上尾ハーフで62分台を出した奥野を2区、13年優勝時1区7位の勝亦を3区で中位につけ、後半にハーフ63分台の
木村勇貴、山本航平でシード確保を狙う。
上武大 予選会は6位で無事通過したが、全日本大学駅伝では順大、神大・中央学大に遅れをとる13位、箱根の闘いの厳しさを感じさせる。予選会のチームトップ山岸は全体の46位、他校
のエース級との力の差が大き過ぎる。予選会で個人80位以下、チームで9・10番目の倉田
佐藤瞬の立ち直り次第でシードへの道が開ける。1万米の持ちタイムはともに28分台、エース
にふさわしい走りを期待したい。1年では井上と坂本が使われそう、ともに1万米は29分30秒、将来が楽しみな新人。
城西大 1枚看板の村山紘太と以下の選手の格差が大き過ぎる。村山はアジア大会5位など日本を代表するランナーに飛躍、予選会は山学大オムワンバに大差をつけトップ、全日本大学駅伝は1区で1位の兄の駒大・謙太と同タイム、学生長距離のトップと言ってよい存在になった。
今大会は「花の2区」で駒大・謙太との兄弟対決、チームメイトに勢いをつける走りをするだろう。1万米28分49秒の副将格の松村元輝の不振が痛い。
念願の初出場
創価大 念願の本戦初出場、予選では9位城西大と2分差、最下位。
エース山口周平は前々回関東学連で出て4区6位、唯一の経験者、2区が確定している。13年のインターハイ3000m障害優勝の新人大山が5千米13分58秒の創価大記録をつくっている、
3区に起用されそうだ。
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