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◇海外旅行の変わった話(58)<藤田の小チャペル>【市川孝二】
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前回はランス大聖堂でした。この帰りに予定にない「藤田嗣治の礼拝堂」に行こうとの,ガイドの誘いで《こじんまりした》チャペルに行きました。ランスに行く定期観光バスに参加する多くの日本人が,藤田の造った礼拝堂に立ち寄りたいと言うそうです。参加の6人は如何ですかと言われ,「立ち寄ってみよう」となったのでした。
フランスに帰化した 故レオナルド・フジタの壁画で覆われた教会です。シャンパン会社の経営者のすすめで,藤田が作り上げた,ノートルダム・ド・ラ・ペ(平和の聖母)礼拝堂です。白い石積みの建物は,ステンドグラスやレリーフなど細部まで全て藤田によってデザインされています。80歳で作成したフレスコ画と聞きました。この礼拝堂のためにキリスト教絵画を学び,フレスコ技法も勉強したそうです。内部はフレスコ画で覆われ,受胎告知・三王礼拝・聖母子像・磔刑図などがあり,この礼拝する人の中に藤田自身の姿も見えます。藤田の眠る墓所でもあります。
「生誕120年・藤田嗣治展」と言う彼の回顧展が今年3月から5月まで,東京国立近代美術館でありました。パリで成功した画家が一旦帰国して戦争画も描き,「戦争協力への責任問題」に嫌気をさした彼はパリに戻ってフランスの国籍を取得しました。さらに,カトリックに改宗しました。いろいろ言われた人でしたが,藤田最後の大きな仕事です。
ランスの大聖堂に行くことが目的でしたが,この展覧会で購入した(カタログにある)彼の宗教画の本物を,お陰で見ることが出来ました。なにしろ,回顧展を見たときに「小さい教会」があることは知っていましたが,ランスにあることは忘れていたのです。
アメリカ周りで日本を出国したとき,「日本を捨てるのか?」との質問に,「違う,日本が藤田を捨てたのだ」と言ったそうです。堂守のフランス人の説明などを聞き,藤田の最晩年の画業とその生きざまを偲びました。
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◇田舎暮らし(47)< 山の道 >【中野信吾】
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久しぶりに裏山を歩いてきた。すでに木々の葉を落とした初冬の山は、周囲をさえぎるものもなく遠くまで見通せる。所々、道のくぼみには、落ち葉が吹き溜まりとなっている。そこを歩くとかさこそと心地よい音を立てる。日の当たる斜面などは、枯葉のにおいが漂い何ともいえない安らぎを与えてくれる。枯葉の中を歩く足音だけが静けさを象徴させている。だが、その中に時折「かさっ」とした音が聞こえてくる。一瞬「どきっ」とする。音のした方を見ても分からない。周囲を注意深く観察してみても他に動物などどこかに潜んでいないかどうかも分からない。恐らく鳥だろうと思う。
最近ではあちこちで里山に動物が出没したというニュースを聞く。山で急に彼らと出会った場合の身の処し方など為すすべもないだろう。そのときのためではないのだが、いつでも山へ行くときは厚手の鎌を持って歩いている。手ぶらで行くよりも多少厄介だが、慣れれば大変に便利なものだからだ。歩いている道に覆いかぶさるように木の枝や、丈の長い草とか蔓などが塞いでいるときは、それらを鎌で払うようにして進む。それと前述の動物との咄嗟の出会いの場合に護身用にも役に立つのだ。といってももっと大型の熊や猪などにはあまり効果がないだろうが。でも、ないよりはましだ。使わなければもっといい。山道を歩いていてもこのように細かいところまで神経は使っている。
昔は山道を歩いていても道に迷ったということがなかった。割合に人が通っていることが多く、踏みしめられていたからだ。今は昔ほどに人は山に入らない。だから昔の道は残っているものの荒れるにまかせ、かつての道の痕跡を残していればよい方で、けもの道みたいなものになっている方が多くなった。耕作を放棄した畑の脇の農道を通って山道に入るにしても、そこからは幾つものけもの道に分かれていて、どれが本来の山道なのか分かりにくい状態になってしまった。まさに迷路というほかない。
放棄された畑は荒れるにまかせ、子供のころ食糧不足で荒地を開墾した記憶をよみがえらせた。ただし、当時は開墾してそこに種を蒔いても、作物を荒らすような動物はいなかった。というよりも人間が頻繁に山に入っていたから、動物は山奥で我慢していたのかもしれない。だが、今は状況が違う。山に棲息する動物が多くなったのか、人の経済圏の進出が彼らの生息地域を追いやり、移動を余儀なくさせてしまったのか分からない。当時とは逆に人間の生活圏に動物が進出してきた状況を見ると、まさに昔とは逆の状況をそこに見出さざるを得ない。
寒風の吹きすさぶ中で、わが畑に頻繁に出没する動物のけもの道の背後を少しでも断とうと歩き回ってきた。そこにはとても個人の力が及ばない大きな空間が横たわり、わが畑の周囲を緩衝帯として作用させるにはさらに広い区域の整備を要することが分かった。この作業を遂行するには莫大な労力と時間が必要で、途方もなく先の見えない作業のようにも思えてきた。
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◇辛口コラム(13)< 本間政府税調会長を免職せよ=共和党の愚を一周遅れで追う安倍政権の愚= >【増山榮太郎(政治ジャーナリスト)】
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◆格差拡大が諸悪の根源
米共和党は、11月の中間選挙で12年ぶりに上下両院議席の多数派の地位を失い、民主党に完敗した。敗因について、日本のマスメデイアでは、ブッシュ政権のイラク戦の不手際 、泥沼化が指摘されている。それはそれで、間違いないのだが、もっと大きな敗因は、ブッシュ共和党政権が過去12年間、推進してきた金持ち優遇政策、その結果として貧富の格差拡大、中間層の下層への転落があった。そのことが、有権者の反発を生み、共和党の大幅議席減につながったとみるべきである。
ブッシュ政権は、過去3年間で富裕層を対象に利子課税や所得税、相続税などで1兆9000億ドル(約226兆円)の超大型減税を実施した。同じ時期にグリンスバーンFRB議長(当時)の政策金利の引き下げと相まって、確かに米景気は上向いた。だが、その恩恵に浴したのは一握りの富裕階層だった。
金持ちは益々豊かに、貧乏人は益々貧しくなった。貧富の格差が拡大した。つまり米経済の担い手である中間層が没落し、残ったのは一握りの富裕層と増大する下層階級だった。その結果が、今度の中間選挙での有権者の反乱だったのだ。
つまり格差拡大が諸悪の根源であることが、この一件でもはっきりした。
◆成長の美名に隠れた金持ち優遇政策
安倍政権は、新内閣の経済政策を「成長なくして改革なし」と成長重視を掲げた。経済成長は確かに、有り難いお題目だ。経済が成長すれば税収が増え、赤字国債の発行減にもなる。 庶民の懐も、何となく暖かになりそうな感じがする。
だが、政府が成長政策の柱として据えたのは企業への大幅減税だ 。例えば政府税調が打ち出した成長政策は、法人税など大企業減税政策だ。確かに企業が成長しなければ従業員の懐も豊かにならにかもしれない
小泉政権の構造改革の下で、大企業は今や空前の利益を上げている。だが、従業員は豊かになったのか。特に正社員以外の期間工、派遣社員、契約社員、フリーターは豊かになったのか。
恵まれているはずの正社員も首切りの怖れにおののき、あるいは定率減税の廃止で所得は減少している。さらに2年後には、消費税アップも控えている。
大企業は、空前の利益を社長や取締役の待遇改善に充てて、一般従業員は後回している。
早大大学院教授の野口悠紀雄氏は「大企業減税は経済の活性化にならない」と異を唱えている。
しかも、安倍政権は、経済諮問会議の財界メンバーの起案した「労働ビッグバン」の名の下に時間外賃金カットや労働規制緩和ヲ強行し、一般労働者のさらなる賃下げを意図している 。
それは小泉政権以来の「弱者イジメ、金持ち優遇政策」ではないか。
いくら政府の御用学者が否定しても、も貧富の格差は拡大する一方だ。
◆走狗・本間税調会長を免職せよ
ところが、最近のマスメデイアは相変わらず安倍政権のタイコ持ちだ。弱者の味方のはずの朝日新聞までが「改革」の旗振りしている。
ところがどうだ。
12/22号『週刊ポスト』が、鮮やかなスクープを放った。最近、政府税調会長に就任した本間正明阪大教授が「愛人と高級官舎で同棲している」というのだ。個人の恋愛はプライバシーにすぎないが、政府税調会長は公職である。しかも、通常入居できないはずの 高級公務員宿舎を低廉の入居費で、しかも”東京妻”と同棲しているのだ。
彼は、小泉政権以来、構造改革の旗振り役として御用学者どころか走狗と言われている。彼は、一貫して竹中平蔵前総務相とともに米グローバリゼーションを礼賛、大企業優先、規制緩和を主張してきた。しかも、石税調会長更迭を受けて江畏怖税調会長に就任するや持論の大企業減税を政府税調案として打ち出した。
そこには税的弱者への一片の配慮も見られない。まさに安倍政権や大企業の走狗である。
その彼が税金で支えられている公務員宿舎をタダ同然で愛人と入居している。これを国民にどう申し開きするのか?公私混同もいいところだ。これでは、正直に税金を払うのがバカらしくなる。
安倍政権よ、すべからず本間会長を免職せよ。そうでなかったら、納税者よ、一緒に税金不払い運動を起こすべきではないか。
※「増さんの政治教室」 http://www33.ocn.ne.jp/~massan/
※ブログ「トラベル・ジャーナリスト結城靖彦が綴る愛と旅の物語」もお訪ねください
http://yuuki-yasu.blog.ocn.ne.jp/masu/
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◇今月のへぇー(47)< なかの関連ニュース早読み >【 Lagoon 】
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12月中旬分の主なものを以下に。たまにチェックすると見落とした記事も。
http://nsearch.yahoo.co.jp/bin/query?fr=my-top&ei=UTF-8&p=%E4%B8%AD%E9%87%8E%E5%8C%BA
■ 東京】五味などへ委託 中野区の体育館耐震診断
建通新聞 - 2006年12月5日
中野区は、小中学校26校の体育館耐震診断業務を5件に分けて五味建築設計事務所(中野区)らに委託した。診断の結果を見て今後の計画を立てていく。
■ 百貨店「丸井」(東京都中野区)のカード・キャッシング利用者6人が「過払い金の有無を確認するため取引 ... 2006年12月18日(月)21時29分
■ 法テラス スタート2カ月 法の道案内 どう利用したら - 毎日新聞 - 社会
日常生活のさまざまなトラブルを解決するための「総合案内窓口」となる日本司法支援センター(愛称・法テ ... 2006年12月17日(日)17時10分
■ 4コマ漫画:中野区の主婦・島田さん、自閉症の息子の日常を明るく /東京 - 毎日新聞 - 東京
◇「とらぽん」 中野区の主婦、島田ゆかりさん(42)が、自閉症の息子の日常を4コマ漫画で描いた。「 ... 2006年12月17日(日)11時3分
■ <シベリア抑留者>「特別給付」廃案へ 補償は絶望的に - 毎日新聞 - 政治
シベリアなどに戦後抑留された旧日本兵の補償問題に関し、特別給付金を支給する野党提出法案の採決は15 ... 2006年12月15日(金)20時46分
■ 傷害:中野で未明に女性殴られる--通り魔で捜査 /東京 - 毎日新聞 - 東京
13日午前1時15分ごろ、中野区上高田の路上で、近くに住む女性会社員(37)が、後ろから何者かに頭 ... 2006年12月14日(木)12時0分
■ <通り魔>携帯電話中の女性殴られケガ 東京・中野で深夜 - 毎日新聞 - 社会
13日午前1時15分ごろ、東京都中野区上高田の路上で、近くに住む女性会社員(37)が、後ろから何者 ... 2006年12月13日(水)13時18分
■ <都教委>未履修科目の受験対策振り替えを容認 補習求めず - 毎日新聞 - 社会
全国の高校で必修科目の未履修が発覚した問題で、東京都教育委員会が都立高の一部で必修科目の「総合的学 ... 2006年12月12日(火)12時30分
■ 中野区:副区長制を導入 助役、収入役を廃止--来年度から /東京 - 毎日新聞 - 東京
中野区は11日、来年4月から助役と収入役を廃止し、副区長制を導入すると発表した。地方自治法の改正で ... 2006年12月12日(火)12時0分
■ [livedoor Wireless] ルノアール中野北口店を追加 - RBB TODAY - テクノロジー総合
livedoor Wirelessは、ルノアール中野北口店にてあらたにサービスを開始した。 詳細は以下のとおり。... 2006年11月13日(月)14時26分
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事務局からお知らせ
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◆お楽しみの新年会は、2007年1月20日(土曜)の午後3時~
(会場は中野5差路南の東京都生協連3階ホール)、ぜひご予定ください
案内状は、会報『さざんかの道』(12月2日発行)に同封お届けしています。
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◇キャンパスにおける主な催し~早大同情報ページ
http://www.waseda.jp/jp/event/ より
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清水邦夫と木冬社-劇作家と演劇企画の30年」展
【日時】2007/2/3(土)まで 10:00-17:00(火・金は19:00終了)
【会場】早稲田大学坪内博士記念演劇博物館
【対象】学生・教職員・一般
【参加方法】入場無料・直接会場へ
【問合せ】主催:早稲田大学坪内博士記念演劇博物館
協力:清水邦夫氏・松本典子氏・木冬社
http://www.waseda.jp/enpaku/special/index.html
講演会「記憶と記録の間に-中国現代写真事情」
講師:顧錚(Gu Zheng)氏(復旦大学教授・早大との交換研究員)
使用言語:日本語
【日時】2006/12/21(木)13:00-14:30
【会場】西早稲田キャンパス14号館201教室
【対象】学生・教職員・一般
【参加方法】入場無料・直接会場へ
【問合せ】早稲田大学法学学術院・塚原史研究室
国際コンファレンス'Comparative Institution and Political-Economy:
Theoretical, Experimental and Empirical Analysis'
【日時】2006/12/22(金)-23(土)9:30-詳細はご参考URLをご参照下さい。
【会場】早稲田大学国際会議場3階会議室
【対象】学生・教職員・一般
【参加方法】入場無料・直接会場へ
【問合せ】早稲田大学21世紀COEプログラム「開かれた政治経済制度の構築」(21COE-GLOPE)
http://21coe-glope.com/sympo/20061222.html
講演会「毛沢東以後の電影モダニズム-理論的、歴史的再考-」
講師:張旭東氏(ニューヨーク大学教授)
※中国語による講演・通訳あり
【日時】2006/12/22(金)14:00-17:00
【会場】戸山キャンパス36号館682教室
【対象】学生・教職員・一般
【参加方法】入場無料・直接会場へ
【問合せ】早稲田大学第一文学部
産業経営研究所講演会
「The Impact of Knowledge-Based Resources and
Strategic Orientation on New Product Innovation:
The Mediating Role of Creativity of New Product Concepts」
講演者:スビン・イム氏(サンフランシスコ州立大学助教授)
世話人:恩藏直人氏(早稲田大学商学学術院教授)
【日時】2006/12/27(水)15:30-17:00
【会場】早稲田大学9号館5階商学部第一小会議室
【対象】本学学生・教職員・一般
【参加方法】入場無料・直接会場へ
【問合せ】早稲田大学産業経営研究所
http://www.waseda.jp/sanken/kouenkai/top.html
第2回アジアセミナー「安倍政権のアジア外交を斬る!」(言語:日本語)
講演者:天児慧氏(早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授)、
重村智計氏(早稲田大学国際教養学術院教授)
司会:寺田貴氏(早稲田大学アジア研究機構アジア研究所助教授)
【日時】2007/1/10(火)14:40-16:10
【会場】西早稲田キャンパス7号館209教室
【対象】学生・教職員・一般
【参加方法】入場無料・直接会場へ
【問合せ】早稲田大学アジア研究機構 TEL:03(3202)2537
http://www.waseda.jp/asianstudies/
早稲田大学文化人類学会 第8回総会
シンポジウム『社会開発における接合点の構築と人類学の役割』
パネリスト:菊地靖氏(早稲田大学大学院アジア太平洋研究科)
金子健二氏(国際協力機構 筑波研修センター 業務第2チーム長)
竹内元氏(国際協力銀行 開発第4部第1班課長(中南米・カリブ))
【日時】2007/1/13(土)10:30-17:45
【会場】戸山キャンパス32号館2階224教室
【対象】学生・教職員・一般
【参加方法】入場無料・直接会場へ
【問合せ】早稲田大学文化人類学会
http://www.waseda.jp/assoc-wsca/meeting_sympo.html
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