2019年4月号
◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆
◇古希のたわごと (1) 【石川啓司】
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=自己紹介=
文学部1972年卒です。10数年前、中野を終焉の地と考え、中野稲門会に入会し、「ゴルフ部会」、「知の技術研究会」や「食べ歩きの会」に参加しました。それ以前、新宿に住んでいましたので、新宿稲門会にも籍をおいています。
メールマガジンでは、「中野生活」というタイトルで、2013年2月から15年12月まで、寄稿をしましたが、8年間に住んで、再び新宿区に戻ったこともあり、メルマガを出すのをやめてしまいました。
今年2019年3月の23支部大会で、岡本さんとたまたま話す機会があり、メルマガ再開を!との話が出ました。
この3月に古希を迎えたので、タイトルを『古希のたわごと』として、新宿稲門会にはこういったメールマガジンがないので、皆さんと、中野生活や新宿の生活の話、残りの人生をどう過ごすか、高齢者の生き様、終活を共有したいと思い、気ままに書いていきます。よろしくお願いします!
この4月20日土曜日午後6時にポストから中野稲門会の「さざんかの道」が入った封筒を取り出し、手に取って読んで、見知った方々、会報を作り上げた皆さんの姿を思い浮かべました。
=部会活動=
中野と新宿の各稲門会に共通にある目的として、「会員相互の親睦・啓発を図る」というのがあります。多くは「部会」という形を取っていて、同じ趣味を持つ同士楽しく時を過ごすことかと思います。
わたしは中野稲門会では部会などに参加する立場ですが、新宿稲門会ではゴルフ練習会、卓球会といったスポーツ系の集いを担当しています。
スポーツをするのは楽しい。自分で身体を動かす訳ですから、健康体操になるという利点もあります。それらに加えて、持続するには、「上達する楽しさ」も重要な要素と思うようになってきました。
それには、指導する人がいると早く確実に上達します。
その辺をお話ししていきたいと思います。
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◇よろず評論(55) <ドイツ人が伝えたバウムクーヘン> 【鈴木迪雄】
◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆
3月6日(水)の朝日新聞(夕刊)にバウムクーヘン-100年の年輪―1919年・3月ドイツ人捕虜が日本に伝える記事が掲載された。記事は100年前、洋菓子・バウムクーヘンが、第一次世界大戦中に中国で捕虜になったドイツ人たちによって日本で初めて紹介されたという。
舞台となったのは、広島市の広島県物産陳列館(現在の原爆ドーム)。その後、年輪を重ね、老若男女が愛する「日本の菓子」に育った、と記事は伝える。
1954年4月、日立造船(株)に入社した小生は、赴任先が広島県の因島工場だったので、ドイツ生まれの銘菓、バウムクーヘン日本伝来の地が、広島港からフェリーで20分、広島湾に浮かぶ似島(にのしま)だと報道されてびっくりした。
そして、朝日新聞が伝えるところによると似島にはかって、第一次世界大戦で捕虜になったドイツ人たちの収容所があり、多い時で約550人が生活していたが、1919年3月4日、いまは原爆ドームとして形をとどめる広島県物産陳列室で開かれた「俘虜製作品展覧会」で当時の中国新聞は、捕虜たちが作った木工品や絵画、洋服、化粧品などが所狭しと並べられたことを伝える。
その中にバウムクーヘンもあった。小麦粉や卵などが入った生地を幾重にも薄く焼き重ね、断面が木の年輪のように見える。ドイツ語で「Baum(バウム)」は「木」。「Kuchen(クーヘン)」は「ケーキ」を意味する。
出店したのは、中国・青島で洋菓子店を営んでいたカール・ユーハイム氏(1886~1945)だった。現在の「ユーハイム」-神戸市-の創業者だ。
話は私が日立造船(株)に入社し、最初の赴任先広島県瀬戸内海の因島について伝えたい。因島工場での配属先は、新入社員教育として6ケ月単位で倉庫課・労務課・会計課・造機部(現場)を廻る研修だった。そして、大阪本社の経理部主計課に5年6ヶ月、東京支社広報課に3年5ケ月(社長造船工業会会長就任による社外向け原稿作成)。東京本社の新造船営業部に12年、企画本部に10年在籍し、取締役に就任。新事業推進を担当。古巣の因島工場合理化に携わって杜仲茶事業をおこし、年間60億円売上の礎を築く。
バウムクーヘンが広島湾に浮かぶ似島が伝来の地とあって私の新入社員時代の因島を思い出し脱線したが、話をバウムクーヘンに戻す。
「バウムクーヘン百年」の文字やイラストをあしらったラッピング路面電車が昨年10月から広島市を走っている。
バウムクーヘンにまつわる似島の歴史は、地元でもあまり知らされていない。「もみじまんじゅうにはかなわないけれど、広島のお土産にして欲しい」。日本に根を張り100年の年令を重ねた平和を築く銘菓を、もっとPRしよう。 (了)
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◇コラム知技研(74) 「本棚の一冊から(34)」 【遠藤恭一】
=『中国製造2025』の衝撃 遠藤誉著=
◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆
中国の最新の状況解説本である。先日開催された中国全人代では「中国製造2025年」の標語は米国との経済・貿易摩擦を睨み一切表に出ずに終了したと報道されている。
然し、偉大な中国を目指して着々と長期戦略に則り中国を指導する共産党の悲願である中国産業の高度化、通信の5G時代に相応した更なるAI/IoT技術への進展を期す計画は変更することが無いという。著者は寡って「チャイナ・ナイン」で一躍有名になった遠藤誉氏である。彼女は1941年中国で生まれ、長く苦しい時代を中国で生活し、中国共産党内部にも情報網を持つ。何よりも中国社会科学院の教授であり、理学博士でもある。この為、宇宙関連にも深い造詣があり語られる内容は非常に示唆に富んでいる。本のまえがきにはアメリカ・日本が中心で運営している国際宇宙ステーションが2024年辺りで使用期限切れになる。中国は独自の宇宙ステーションを2022年までに稼働させるという国家戦略が「製造業2025年」に入っているという。
この製造業完成へ向かって中国の持つすべての力を国家指導でリードするという方針である。内容は大学の充実、世界各国で活躍する高度技術者の中国への帰国促進、半導体装置の国産化である。それを裏付ける最近の成果、即ち、世界初の量子通信衛星打ち上げ、量子暗号通信の成功。量子コンピュータ建設に向けての人材確保。此の様に列挙すると、まさに国家の力を総動員して世界の覇権を確保する体制へと長期戦略を着々と固めているのが判る。
米国がこうした動きに敏感になるのは、特に「宇宙強国」戦略である。地上と海上での覇権では充分対抗しえても、宇宙空間を覇権体制に確保されると大変なことになるとの認識があるからである。習近平は「中国は科学技術の最高峰を果敢に目指し、宇宙強国と科学技術強国の建設に向けて努力する」と檄を飛ばしている。今盛んに言われている「一帯一路」は単なる通過点であることを我々は認識すべきという。
私の眼を引いたのは中国の精華大学の経済管理学院顧問委員会のメンバー一覧であった。
米国大手IT企業や大手企業のCEOの名前がずらりと並んでいる。世界中の一流経営者を教授として招聘してグローバル教育に力を入れている。著者の指摘の中で、日本はノーベル賞受賞者も多く、技術レベルも高いのに経済では中国に遥かに立ち遅れているのは、製品を世に出していくスピードとビジネス展開のまずさにその原因がある。いずれ半導体産業ではやがて中国に抜かれ大きな脅威となる。この実態を直視すべきと指摘している。マイケル・ビルズベリーが書いた「CHAIN2049」には寡って世界は中国が経済的に発展して行けば、必ず民主主義的な政治体制へと転換していくと信じていた。それ故に各国は同国の経済発展を積極的に支援して来た。然し、中華人民共和国設立100周年の2049年には全くそうではない姿になるという現実が21世紀に入ってから世界は遅ればせながら気付いたのである。IT/AII時代にその覇権を狙う中国は自由主義経済体制とどう対峙していくのか。最近中国の我が国への接近も大いに気になる。その意図を充分理解することが必要との指摘は納得がいく。中国の本当の姿を知る格好の著作であると考える。新聞やテレビでは語られていないこの著作を我々は充分吟味する必要があると思う。
つづく
◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆
◇宇宙川柳 ・手前の太道(138) 【家元東柳】
◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆
芭蕉の築いた俳句の世界「奥の細道」をも包摂した広大で自由な川柳宇宙を築こうと思い、「手前の太道(ふとみち)」としています。
泳ぎたし桜の雲海箱舟で
民主主義 金と均一好きにさせ
ユーモアを喰って喜寿迄辿り着き
人の不幸は蜜より甘し
マスカラで老婆になる日迄見えず
不景気で減るティッシュ皿屋敷
二千年世界を呪縛父無し子
平成は令和の前のうたかたか
人間の最後の砦 大笑い
選挙用ポスター裏に二枚舌
★おまけの戯れ句、狂句、破礼句
パラリンピック参加者全員入賞へ
俺一浪努力一生イチロー偉し
僕ちゃんは馬鹿で辞任し副大臣
若者は心もナニもやや硬め
出す方の喪中の葉書石の重さ
★今週のリメールコーナー(遠藤智様)
統計は忖度でなく電卓で(家元3月号)
これは上手い、感心しました。
返句家元 スパコンの後にエンピツ舐めて忖度
★今月の投句コーナー
政官財改竄隠蔽嘘差別(藤原恵一様)
横文字の標識で地名の読みを知る(藤原恵一様)
暫くは置物となる南瓜かな(藤原恵一様)
戦争の被虐体験消えぬハン(恨)(西野進一様)
減塩に味が薄いとひとつまみ(西野進一様)
安倍首相常備薬です征露丸(西野進一様)
禿げ山に鳥居なけれど髪(神)おわす(西野進一様)
★平成最後の「いろは川柳百句一人」 宇宙川柳家元東柳 のお知らせ
2000年より作句を始め、月に約100句作り、一万句を越えた中で 「平明で語呂良く耳にいとおかし」ものを100句選び百人一首ならぬ 「百句一人」を編みました。御希望の方はメールいただければメールで お送りします。お楽しみ下さい。
★世田谷区クリックフリーステージの御案内
4月28日(日)15:00~18:30三茶キャロットタワーの
シアタートラム1Fで今年も世田谷区主催の入場無料の音楽祭の16:50頃ピアノとマンドリンで生歌で3曲歌います。是非聞きに来て下さい。大変バラエティに富んだ楽しいコンサートです。

★コンサートのお知らせ
5/12(日)日暮里サニーホールで14:30から開かれる「くどう式発声講座」で2曲歌います。昨秋ナポリの世界遺産新城で一人でリサイタルを開き、少し成長した私の歌を聞いていただきたいので是非ご連絡下されば幸いです。お待ちしております。
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㈱東綜合設計事務所 代表取締役 東 直彦
東京都中野区中野3-2-1 リバース中野601
TEL:03-3384-9301 FAX:03-3384-9380
E-mail:higaships@siren.ocn.ne.jp
URL :http://www.higaship.com
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◇ 田舎暮らし(191) <ヒマラヤ街道見聞録4> 【中野信吾】
=ロッジ泊で高度順化20190120 =
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今度の旅で一番重宝したのがトイレットペーパーだった。日常生活で卓上の台拭き、お手拭きのタオル代わり、鼻紙、大小などの用便にと、使い方は多くどこででも活用できた。トラベルの案内書にも持参を勧めている。日本製は品質が優れている。雑貨屋でもバラ売りをよく見かけた。だが、ネパール製は紙質がかたいので水に溶けにくくパイプに詰まりやすいという。ネパールでも洋式の施設がみられるが、紙の使用は制限されているところはこのためか。ロッジなどでも水洗式になっているが、傍に容器が置いてあれば、使用済みはそこへ入れる。水洗でなければバケツなどに汲み置きされた水を汲んで手洗式となる。中には和式だが金隠しもなく、しゃがんで用を足す箇所だけが開いている簡単なものもあった。
ルクラからシャンボチェまでの街道筋にはロッジの施設を持つ集落が並んでいる。健脚組ならば高度順化でナムチェまではチュモアかモンジョ辺りで一泊すれば良いが、高齢者で体力がどのくらい維持できるのかも分からないので、安全を図っての配慮をいただき、バクディンとモンジョの二泊に変更された。健脚組の仲間の人には、大変申し訳なかった。トレッキングで最初のゆっくりした行動が高度順化に大いに効果があるよう思えた。
民家を改装したような簡素な宿はバッティと呼ばれ、飯屋と宿泊を兼ねている。主に地元の人やポーターなどが宿泊するという。ロッジは外国人向けが多いようだ。設備は宿によって異なるという。標高が上がれば朝晩の温度差は大きく、11月下旬ともなれば宿泊したロッジはどこでも寝袋の上に掛ける上掛け布団を貸してくれた。明け方でなくても冷え込みの時などによく「こむら返り」が起こる。それで夕食後に「湯たんぽ」の希望を聞かれたので試みに使わせてもらった。寝袋の中で湯たんぽ使用は初めてだった。暖かくおかげでよく寝られた。普段、疲れていると寝ていて足がつるのが常態化していたのが、湯たんぽのおかげでその兆候も起こらず安眠できたのは嬉しかった。
トレッキングで汗をかくかもしれないが、お風呂やシャワーは遠慮してくれ、汗をかいたらタオルで拭く程度にしてくれという進言を受けた。これは高度による気圧や湯による温度差で体調変化が起こるからだろう。日本人ならば温かい湯にどっぷりと浸かりたくなるのが身上だ。ロッジではそんな贅沢はできない。かまどの熱や太陽熱では湯にも供給限度がある。利用すればむしろ疲れが出て、高山病になりやすいという。山にいる間はそのアドバイスを忠実に守った。連泊したホテルでは湯で顔を洗おうとしたが、どこかですでに温水は使われ湯ではなく水だけになっていた。
トレッキングでロッジ泊を重ねていくと、三度の食事で選択に迷うことがある。洋食化されてきたとはいえ、都会のレストランとは違い同じようなパターンが多い。地元の料理にしても割合に脂っこいものがよく出た。山では贅沢は望めなくても、疲労の重なりと食が進まなくなる。持参したふりかけや加工された昆布・梅干などの副食品が大いに役立った。チャレンジできなかったのがエベレストビューホテルでの親子丼だった。食の変化で「オカユ」はロッジでも所望すれば出てくる。知名度は高い。いかに日本人が多いことか。カトマンズでは日本の戸隠で修業した職人が作る本格的な日本蕎麦を味わい堪能した。
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★早稲田大学公開講座・展示行事に関する情報はこちらのサイトからご覧ください。
→ 早稲田イヴェント
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◇古希のたわごと (1) 【石川啓司】
◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆
=自己紹介=
文学部1972年卒です。10数年前、中野を終焉の地と考え、中野稲門会に入会し、「ゴルフ部会」、「知の技術研究会」や「食べ歩きの会」に参加しました。それ以前、新宿に住んでいましたので、新宿稲門会にも籍をおいています。
メールマガジンでは、「中野生活」というタイトルで、2013年2月から15年12月まで、寄稿をしましたが、8年間に住んで、再び新宿区に戻ったこともあり、メルマガを出すのをやめてしまいました。
今年2019年3月の23支部大会で、岡本さんとたまたま話す機会があり、メルマガ再開を!との話が出ました。
この3月に古希を迎えたので、タイトルを『古希のたわごと』として、新宿稲門会にはこういったメールマガジンがないので、皆さんと、中野生活や新宿の生活の話、残りの人生をどう過ごすか、高齢者の生き様、終活を共有したいと思い、気ままに書いていきます。よろしくお願いします!
この4月20日土曜日午後6時にポストから中野稲門会の「さざんかの道」が入った封筒を取り出し、手に取って読んで、見知った方々、会報を作り上げた皆さんの姿を思い浮かべました。
=部会活動=
中野と新宿の各稲門会に共通にある目的として、「会員相互の親睦・啓発を図る」というのがあります。多くは「部会」という形を取っていて、同じ趣味を持つ同士楽しく時を過ごすことかと思います。
わたしは中野稲門会では部会などに参加する立場ですが、新宿稲門会ではゴルフ練習会、卓球会といったスポーツ系の集いを担当しています。
スポーツをするのは楽しい。自分で身体を動かす訳ですから、健康体操になるという利点もあります。それらに加えて、持続するには、「上達する楽しさ」も重要な要素と思うようになってきました。
それには、指導する人がいると早く確実に上達します。
その辺をお話ししていきたいと思います。
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◇よろず評論(55) <ドイツ人が伝えたバウムクーヘン> 【鈴木迪雄】
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3月6日(水)の朝日新聞(夕刊)にバウムクーヘン-100年の年輪―1919年・3月ドイツ人捕虜が日本に伝える記事が掲載された。記事は100年前、洋菓子・バウムクーヘンが、第一次世界大戦中に中国で捕虜になったドイツ人たちによって日本で初めて紹介されたという。
舞台となったのは、広島市の広島県物産陳列館(現在の原爆ドーム)。その後、年輪を重ね、老若男女が愛する「日本の菓子」に育った、と記事は伝える。
1954年4月、日立造船(株)に入社した小生は、赴任先が広島県の因島工場だったので、ドイツ生まれの銘菓、バウムクーヘン日本伝来の地が、広島港からフェリーで20分、広島湾に浮かぶ似島(にのしま)だと報道されてびっくりした。
そして、朝日新聞が伝えるところによると似島にはかって、第一次世界大戦で捕虜になったドイツ人たちの収容所があり、多い時で約550人が生活していたが、1919年3月4日、いまは原爆ドームとして形をとどめる広島県物産陳列室で開かれた「俘虜製作品展覧会」で当時の中国新聞は、捕虜たちが作った木工品や絵画、洋服、化粧品などが所狭しと並べられたことを伝える。
その中にバウムクーヘンもあった。小麦粉や卵などが入った生地を幾重にも薄く焼き重ね、断面が木の年輪のように見える。ドイツ語で「Baum(バウム)」は「木」。「Kuchen(クーヘン)」は「ケーキ」を意味する。
出店したのは、中国・青島で洋菓子店を営んでいたカール・ユーハイム氏(1886~1945)だった。現在の「ユーハイム」-神戸市-の創業者だ。
話は私が日立造船(株)に入社し、最初の赴任先広島県瀬戸内海の因島について伝えたい。因島工場での配属先は、新入社員教育として6ケ月単位で倉庫課・労務課・会計課・造機部(現場)を廻る研修だった。そして、大阪本社の経理部主計課に5年6ヶ月、東京支社広報課に3年5ケ月(社長造船工業会会長就任による社外向け原稿作成)。東京本社の新造船営業部に12年、企画本部に10年在籍し、取締役に就任。新事業推進を担当。古巣の因島工場合理化に携わって杜仲茶事業をおこし、年間60億円売上の礎を築く。
バウムクーヘンが広島湾に浮かぶ似島が伝来の地とあって私の新入社員時代の因島を思い出し脱線したが、話をバウムクーヘンに戻す。
「バウムクーヘン百年」の文字やイラストをあしらったラッピング路面電車が昨年10月から広島市を走っている。
バウムクーヘンにまつわる似島の歴史は、地元でもあまり知らされていない。「もみじまんじゅうにはかなわないけれど、広島のお土産にして欲しい」。日本に根を張り100年の年令を重ねた平和を築く銘菓を、もっとPRしよう。 (了)
◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆
◇コラム知技研(74) 「本棚の一冊から(34)」 【遠藤恭一】
=『中国製造2025』の衝撃 遠藤誉著=
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中国の最新の状況解説本である。先日開催された中国全人代では「中国製造2025年」の標語は米国との経済・貿易摩擦を睨み一切表に出ずに終了したと報道されている。
然し、偉大な中国を目指して着々と長期戦略に則り中国を指導する共産党の悲願である中国産業の高度化、通信の5G時代に相応した更なるAI/IoT技術への進展を期す計画は変更することが無いという。著者は寡って「チャイナ・ナイン」で一躍有名になった遠藤誉氏である。彼女は1941年中国で生まれ、長く苦しい時代を中国で生活し、中国共産党内部にも情報網を持つ。何よりも中国社会科学院の教授であり、理学博士でもある。この為、宇宙関連にも深い造詣があり語られる内容は非常に示唆に富んでいる。本のまえがきにはアメリカ・日本が中心で運営している国際宇宙ステーションが2024年辺りで使用期限切れになる。中国は独自の宇宙ステーションを2022年までに稼働させるという国家戦略が「製造業2025年」に入っているという。
この製造業完成へ向かって中国の持つすべての力を国家指導でリードするという方針である。内容は大学の充実、世界各国で活躍する高度技術者の中国への帰国促進、半導体装置の国産化である。それを裏付ける最近の成果、即ち、世界初の量子通信衛星打ち上げ、量子暗号通信の成功。量子コンピュータ建設に向けての人材確保。此の様に列挙すると、まさに国家の力を総動員して世界の覇権を確保する体制へと長期戦略を着々と固めているのが判る。
米国がこうした動きに敏感になるのは、特に「宇宙強国」戦略である。地上と海上での覇権では充分対抗しえても、宇宙空間を覇権体制に確保されると大変なことになるとの認識があるからである。習近平は「中国は科学技術の最高峰を果敢に目指し、宇宙強国と科学技術強国の建設に向けて努力する」と檄を飛ばしている。今盛んに言われている「一帯一路」は単なる通過点であることを我々は認識すべきという。
私の眼を引いたのは中国の精華大学の経済管理学院顧問委員会のメンバー一覧であった。
米国大手IT企業や大手企業のCEOの名前がずらりと並んでいる。世界中の一流経営者を教授として招聘してグローバル教育に力を入れている。著者の指摘の中で、日本はノーベル賞受賞者も多く、技術レベルも高いのに経済では中国に遥かに立ち遅れているのは、製品を世に出していくスピードとビジネス展開のまずさにその原因がある。いずれ半導体産業ではやがて中国に抜かれ大きな脅威となる。この実態を直視すべきと指摘している。マイケル・ビルズベリーが書いた「CHAIN2049」には寡って世界は中国が経済的に発展して行けば、必ず民主主義的な政治体制へと転換していくと信じていた。それ故に各国は同国の経済発展を積極的に支援して来た。然し、中華人民共和国設立100周年の2049年には全くそうではない姿になるという現実が21世紀に入ってから世界は遅ればせながら気付いたのである。IT/AII時代にその覇権を狙う中国は自由主義経済体制とどう対峙していくのか。最近中国の我が国への接近も大いに気になる。その意図を充分理解することが必要との指摘は納得がいく。中国の本当の姿を知る格好の著作であると考える。新聞やテレビでは語られていないこの著作を我々は充分吟味する必要があると思う。
つづく
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◇宇宙川柳 ・手前の太道(138) 【家元東柳】
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芭蕉の築いた俳句の世界「奥の細道」をも包摂した広大で自由な川柳宇宙を築こうと思い、「手前の太道(ふとみち)」としています。
泳ぎたし桜の雲海箱舟で
民主主義 金と均一好きにさせ
ユーモアを喰って喜寿迄辿り着き
人の不幸は蜜より甘し
マスカラで老婆になる日迄見えず
不景気で減るティッシュ皿屋敷
二千年世界を呪縛父無し子
平成は令和の前のうたかたか
人間の最後の砦 大笑い
選挙用ポスター裏に二枚舌
★おまけの戯れ句、狂句、破礼句
パラリンピック参加者全員入賞へ
俺一浪努力一生イチロー偉し
僕ちゃんは馬鹿で辞任し副大臣
若者は心もナニもやや硬め
出す方の喪中の葉書石の重さ
★今週のリメールコーナー(遠藤智様)
統計は忖度でなく電卓で(家元3月号)
これは上手い、感心しました。
返句家元 スパコンの後にエンピツ舐めて忖度
★今月の投句コーナー
政官財改竄隠蔽嘘差別(藤原恵一様)
横文字の標識で地名の読みを知る(藤原恵一様)
暫くは置物となる南瓜かな(藤原恵一様)
戦争の被虐体験消えぬハン(恨)(西野進一様)
減塩に味が薄いとひとつまみ(西野進一様)
安倍首相常備薬です征露丸(西野進一様)
禿げ山に鳥居なけれど髪(神)おわす(西野進一様)
★平成最後の「いろは川柳百句一人」 宇宙川柳家元東柳 のお知らせ
2000年より作句を始め、月に約100句作り、一万句を越えた中で 「平明で語呂良く耳にいとおかし」ものを100句選び百人一首ならぬ 「百句一人」を編みました。御希望の方はメールいただければメールで お送りします。お楽しみ下さい。
★世田谷区クリックフリーステージの御案内
4月28日(日)15:00~18:30三茶キャロットタワーの
シアタートラム1Fで今年も世田谷区主催の入場無料の音楽祭の16:50頃ピアノとマンドリンで生歌で3曲歌います。是非聞きに来て下さい。大変バラエティに富んだ楽しいコンサートです。

★コンサートのお知らせ
5/12(日)日暮里サニーホールで14:30から開かれる「くどう式発声講座」で2曲歌います。昨秋ナポリの世界遺産新城で一人でリサイタルを開き、少し成長した私の歌を聞いていただきたいので是非ご連絡下されば幸いです。お待ちしております。
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㈱東綜合設計事務所 代表取締役 東 直彦
東京都中野区中野3-2-1 リバース中野601
TEL:03-3384-9301 FAX:03-3384-9380
E-mail:higaships@siren.ocn.ne.jp
URL :http://www.higaship.com
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◇ 田舎暮らし(191) <ヒマラヤ街道見聞録4> 【中野信吾】
=ロッジ泊で高度順化20190120 =
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今度の旅で一番重宝したのがトイレットペーパーだった。日常生活で卓上の台拭き、お手拭きのタオル代わり、鼻紙、大小などの用便にと、使い方は多くどこででも活用できた。トラベルの案内書にも持参を勧めている。日本製は品質が優れている。雑貨屋でもバラ売りをよく見かけた。だが、ネパール製は紙質がかたいので水に溶けにくくパイプに詰まりやすいという。ネパールでも洋式の施設がみられるが、紙の使用は制限されているところはこのためか。ロッジなどでも水洗式になっているが、傍に容器が置いてあれば、使用済みはそこへ入れる。水洗でなければバケツなどに汲み置きされた水を汲んで手洗式となる。中には和式だが金隠しもなく、しゃがんで用を足す箇所だけが開いている簡単なものもあった。
ルクラからシャンボチェまでの街道筋にはロッジの施設を持つ集落が並んでいる。健脚組ならば高度順化でナムチェまではチュモアかモンジョ辺りで一泊すれば良いが、高齢者で体力がどのくらい維持できるのかも分からないので、安全を図っての配慮をいただき、バクディンとモンジョの二泊に変更された。健脚組の仲間の人には、大変申し訳なかった。トレッキングで最初のゆっくりした行動が高度順化に大いに効果があるよう思えた。
民家を改装したような簡素な宿はバッティと呼ばれ、飯屋と宿泊を兼ねている。主に地元の人やポーターなどが宿泊するという。ロッジは外国人向けが多いようだ。設備は宿によって異なるという。標高が上がれば朝晩の温度差は大きく、11月下旬ともなれば宿泊したロッジはどこでも寝袋の上に掛ける上掛け布団を貸してくれた。明け方でなくても冷え込みの時などによく「こむら返り」が起こる。それで夕食後に「湯たんぽ」の希望を聞かれたので試みに使わせてもらった。寝袋の中で湯たんぽ使用は初めてだった。暖かくおかげでよく寝られた。普段、疲れていると寝ていて足がつるのが常態化していたのが、湯たんぽのおかげでその兆候も起こらず安眠できたのは嬉しかった。
トレッキングで汗をかくかもしれないが、お風呂やシャワーは遠慮してくれ、汗をかいたらタオルで拭く程度にしてくれという進言を受けた。これは高度による気圧や湯による温度差で体調変化が起こるからだろう。日本人ならば温かい湯にどっぷりと浸かりたくなるのが身上だ。ロッジではそんな贅沢はできない。かまどの熱や太陽熱では湯にも供給限度がある。利用すればむしろ疲れが出て、高山病になりやすいという。山にいる間はそのアドバイスを忠実に守った。連泊したホテルでは湯で顔を洗おうとしたが、どこかですでに温水は使われ湯ではなく水だけになっていた。
トレッキングでロッジ泊を重ねていくと、三度の食事で選択に迷うことがある。洋食化されてきたとはいえ、都会のレストランとは違い同じようなパターンが多い。地元の料理にしても割合に脂っこいものがよく出た。山では贅沢は望めなくても、疲労の重なりと食が進まなくなる。持参したふりかけや加工された昆布・梅干などの副食品が大いに役立った。チャレンジできなかったのがエベレストビューホテルでの親子丼だった。食の変化で「オカユ」はロッジでも所望すれば出てくる。知名度は高い。いかに日本人が多いことか。カトマンズでは日本の戸隠で修業した職人が作る本格的な日本蕎麦を味わい堪能した。
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