2019年12月号 (最終号)
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◇よろず評論(63) <魚の四文屋> 【鈴木迪雄】
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JR中央線の高円寺駅北口を出ると、魚の四文屋の看板が目に入る。平成21年2月に開店した魚専門の居酒屋だ。
四文屋は平成10年11月に、西武新宿線新井薬師前駅近くで小さな焼きとり屋から始めたとのこと。コンセプトは、焼きとりをあてに飲むのが好きなお客のために、「できるだけ居心地のよい空間で、うまい焼きとりを食べてもらい、それをできるだけ安価で」とい単純で当たり前すぎる方針でスタートした由。
「しばらく待つと、職人さんやタクシードライバー、新聞屋さんなど、この町で働いている人々が集まってきて、高円寺ガード下店、江古田店、沼袋店、練馬店、阿佐ヶ谷店、中野店、高円寺北口店、国分寺店と、中野・杉並・練馬の方々に一杯のやすらぎの場を提供し、お客様を通して、これらの街の文化を吸収したという。
四文屋が追求するのは
⑴ 時代や地域にとらわれず、繁盛することのできる=生涯の天職の追求
⑵ 安定した会社で安定して働く=幸せな生活の追求
⑶ 日々修行しながら将来の実現可能な夢を立てていく=自己実現の追求
の三ケ条だ。
出店した街の文化はお客様を通して吸収し、やがて街の文化の担い手となることが目標としているそうだ。
私が四文屋に通いはじめたのは、平成18年9月、高円寺北口店が開店してからで、平成21年2月、四文屋・高円寺店が開店し、多くのサラリーマンが通いやすい店ができて常連となってからで、本拠地中野店と阿佐ヶ谷店にも通う。四文屋は、居酒屋が乱立するなかでも、すべての人々に愛される飽きない味が第一目標。第二目標は、従業員の休暇、労働時間、賃金、勤務地など飲食業として後手に回ってしまった事柄の改善。第三目標は、修業して生まれ故郷に四文屋を出店することで、従業員の目標と夢が明確であることだ。
おわり
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◇宇宙川柳 ・手前の太道(146) 【家元東柳】
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芭蕉の築いた俳句の世界「奥の細道」をも包摂した広大で自由な川柳宇宙を築こうと思い、「手前の太道(ふとみち)」としています。
マンションも実はポツンと一軒家
長生きしポイント溜めて生前葬
見た目より頭切れてると言われても
出るとこに出ようという人悪い方
金婚式夫婦の二露一露に
75億皆棲んでるスマホの中
年老いて耳を塞いで口は大口
満員で小さな胸々触れぬよう
痛いのは靴 悪いのは足
影法師俺より先に行かないで
★おまけの戯れ句、狂句、破礼句
花見の会やくざタレント皆サクラ
しゃれこうべ二つの噛み合うディープキス
手術前やるだけやります藪が言い
死者誤入九死に一生逃れ切る
アメリカの核の傘はビニール傘
★ありどおろオーケストラ・ガラコンサートの御礼
オフィス工藤主催の、世界的ソプラノ テォドッシュを迎えてのガラコンサート、少々体調不良の声を慎重にコントロールしてどうにか歌い切ることが出来ました。
私のお客様の20名の方々を含め、ブラボーを沢山いただき恐縮しました。又来年9月19日のオペラシティでの28回目のリサイタルに向かって飛躍しなければなりません。
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㈱東綜合設計事務所 代表取締役 東 直彦
東京都中野区中野3-2-1 リバース中野601
TEL:03-3384-9301 FAX:03-3384-9380
E-mail:higaships@siren.ocn.ne.jp
URL :http://www.higaship.com
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◇コラム知技研(82) 「本棚の一冊から(42)」 【遠藤恭一】
=『ぼくはイエロ―でホワイトで、ちょっとブルー』ブレディみかこ著=
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友人から面白いと勧められ手に取った。著者はアイルランド系イギリス人と結婚した福岡出身の日本人であり、イギリス南部ブライトンの下町的な地域に住む一家であり、一人息子の現地中学校へ入学からの1年半の生活の物語である。
勿論彼は生まれてからずっと英国で暮らし、母国語は英語、小学校は地元の公立カソリック有名校に通った。然し中学を選ぶ段階で各学校を巡り自ら地元の「元荒れていた問題中学校」を選んだ。ユニークな取り組みでこの中学校が再生の道を歩んでいることが、彼の通学する決め手となった。物語はその入学か始まる。一つ一つの出来事や個別のエピソードは考えさせられるケースが多く多様化した社会の実像がこの息子を巻き込みながら展開する。本の表題となったタイトルはその息子が(名前は一切本の中に登場しない。息子としか書かれていない)自宅のノートに落書きとして書かれていたことである。即ち、『自分は黄色人種であり、白人でもあり、それが故にちょっと気持ちがふさぎ込んでいる』。
同級生には東欧からの移民で黒人に対する激しい偏見を持つ生徒、黒人、相当に貧しい生徒等あらゆる移民が構成する社会の縮図が目の前に広がっている。こうした問題を息子は一人で解決していくことになる。息子が母親に連れられて日本に一時帰国した時、九州の祖父から玄界灘で鍛えられ泳ぎ方によってブライトンの水泳大会で入賞する。その地域の応援席が全く左右に分かれていることに驚く。一方は公立学校の生徒の親たち、もう一方は私立の富裕層が中心の生徒の親。決して左右の観客席が交わることはないという。私立学校の生徒は町のスイミング教室で学び優雅な泳ぎを見せ堂々と優勝する。一方公立学校の生徒はそうした機会がないため記録を伸びず惨敗する。然し息子は玄界灘で鍛えられた力で堂々と3位に入る。その姿に公立校の生徒、親は大喝采となる。また別の話しだが多様性の象徴の様な話題もある。英国の保育園では米国NYのセントラルパーク動物園であった実話に基づいた”And Tango Makes Three”の話しが保育園で子供たちに人気の話しとなっている。他のペンギンたちが子供たちをつくる季節が来て、卵を産み温めているのを見た2羽のオスのペンギンは卵に似た石を拾って来て温める。それを見た飼育員は2匹のオスがカップルだと気付き放置された卵を2羽の巣に入れる。すると2羽のオスは後退でこの卵を温めやがて赤ん坊が生まれ彼らはパパになりTangoと名付けられた。イギリスではLGBTへの理解も進み、保育園でもこうした話が自由に子供たちの会話に登場するという。この本を読んでいると、我が国の5年後あるいは10年後には同様な多様性のある外国出身の人々が大勢学校や社会の中に入り込んでいるのではと考えざるを得ない。此の所、街には外国人が普通に歩いており携帯電話で話す言葉は必ずしも聞いたことがある言葉とは限らない。ロシア語、ベトナム語も、多分フィリピンのタガログ語も交じっている。
どんどん社会が多様化しているわけで、先日のラクビーワールドカップでも日本チームの略半分外国出身者であり、また外国から来た観戦者と一緒になって応援する姿がテレビで放映されていた。2060・70年代には純粋の日本人等は珍しくなるかもしれない。多様性の中で新たな可能性が開けているのではないかと思うこの頃である。
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◇よろず評論(63) <魚の四文屋> 【鈴木迪雄】
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JR中央線の高円寺駅北口を出ると、魚の四文屋の看板が目に入る。平成21年2月に開店した魚専門の居酒屋だ。
四文屋は平成10年11月に、西武新宿線新井薬師前駅近くで小さな焼きとり屋から始めたとのこと。コンセプトは、焼きとりをあてに飲むのが好きなお客のために、「できるだけ居心地のよい空間で、うまい焼きとりを食べてもらい、それをできるだけ安価で」とい単純で当たり前すぎる方針でスタートした由。
「しばらく待つと、職人さんやタクシードライバー、新聞屋さんなど、この町で働いている人々が集まってきて、高円寺ガード下店、江古田店、沼袋店、練馬店、阿佐ヶ谷店、中野店、高円寺北口店、国分寺店と、中野・杉並・練馬の方々に一杯のやすらぎの場を提供し、お客様を通して、これらの街の文化を吸収したという。
四文屋が追求するのは
⑴ 時代や地域にとらわれず、繁盛することのできる=生涯の天職の追求
⑵ 安定した会社で安定して働く=幸せな生活の追求
⑶ 日々修行しながら将来の実現可能な夢を立てていく=自己実現の追求
の三ケ条だ。
出店した街の文化はお客様を通して吸収し、やがて街の文化の担い手となることが目標としているそうだ。
私が四文屋に通いはじめたのは、平成18年9月、高円寺北口店が開店してからで、平成21年2月、四文屋・高円寺店が開店し、多くのサラリーマンが通いやすい店ができて常連となってからで、本拠地中野店と阿佐ヶ谷店にも通う。四文屋は、居酒屋が乱立するなかでも、すべての人々に愛される飽きない味が第一目標。第二目標は、従業員の休暇、労働時間、賃金、勤務地など飲食業として後手に回ってしまった事柄の改善。第三目標は、修業して生まれ故郷に四文屋を出店することで、従業員の目標と夢が明確であることだ。
おわり
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◇宇宙川柳 ・手前の太道(146) 【家元東柳】
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芭蕉の築いた俳句の世界「奥の細道」をも包摂した広大で自由な川柳宇宙を築こうと思い、「手前の太道(ふとみち)」としています。
マンションも実はポツンと一軒家
長生きしポイント溜めて生前葬
見た目より頭切れてると言われても
出るとこに出ようという人悪い方
金婚式夫婦の二露一露に
75億皆棲んでるスマホの中
年老いて耳を塞いで口は大口
満員で小さな胸々触れぬよう
痛いのは靴 悪いのは足
影法師俺より先に行かないで
★おまけの戯れ句、狂句、破礼句
花見の会やくざタレント皆サクラ
しゃれこうべ二つの噛み合うディープキス
手術前やるだけやります藪が言い
死者誤入九死に一生逃れ切る
アメリカの核の傘はビニール傘
★ありどおろオーケストラ・ガラコンサートの御礼
オフィス工藤主催の、世界的ソプラノ テォドッシュを迎えてのガラコンサート、少々体調不良の声を慎重にコントロールしてどうにか歌い切ることが出来ました。
私のお客様の20名の方々を含め、ブラボーを沢山いただき恐縮しました。又来年9月19日のオペラシティでの28回目のリサイタルに向かって飛躍しなければなりません。
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㈱東綜合設計事務所 代表取締役 東 直彦
東京都中野区中野3-2-1 リバース中野601
TEL:03-3384-9301 FAX:03-3384-9380
E-mail:higaships@siren.ocn.ne.jp
URL :http://www.higaship.com
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◇コラム知技研(82) 「本棚の一冊から(42)」 【遠藤恭一】
=『ぼくはイエロ―でホワイトで、ちょっとブルー』ブレディみかこ著=
◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆
友人から面白いと勧められ手に取った。著者はアイルランド系イギリス人と結婚した福岡出身の日本人であり、イギリス南部ブライトンの下町的な地域に住む一家であり、一人息子の現地中学校へ入学からの1年半の生活の物語である。
勿論彼は生まれてからずっと英国で暮らし、母国語は英語、小学校は地元の公立カソリック有名校に通った。然し中学を選ぶ段階で各学校を巡り自ら地元の「元荒れていた問題中学校」を選んだ。ユニークな取り組みでこの中学校が再生の道を歩んでいることが、彼の通学する決め手となった。物語はその入学か始まる。一つ一つの出来事や個別のエピソードは考えさせられるケースが多く多様化した社会の実像がこの息子を巻き込みながら展開する。本の表題となったタイトルはその息子が(名前は一切本の中に登場しない。息子としか書かれていない)自宅のノートに落書きとして書かれていたことである。即ち、『自分は黄色人種であり、白人でもあり、それが故にちょっと気持ちがふさぎ込んでいる』。
同級生には東欧からの移民で黒人に対する激しい偏見を持つ生徒、黒人、相当に貧しい生徒等あらゆる移民が構成する社会の縮図が目の前に広がっている。こうした問題を息子は一人で解決していくことになる。息子が母親に連れられて日本に一時帰国した時、九州の祖父から玄界灘で鍛えられ泳ぎ方によってブライトンの水泳大会で入賞する。その地域の応援席が全く左右に分かれていることに驚く。一方は公立学校の生徒の親たち、もう一方は私立の富裕層が中心の生徒の親。決して左右の観客席が交わることはないという。私立学校の生徒は町のスイミング教室で学び優雅な泳ぎを見せ堂々と優勝する。一方公立学校の生徒はそうした機会がないため記録を伸びず惨敗する。然し息子は玄界灘で鍛えられた力で堂々と3位に入る。その姿に公立校の生徒、親は大喝采となる。また別の話しだが多様性の象徴の様な話題もある。英国の保育園では米国NYのセントラルパーク動物園であった実話に基づいた”And Tango Makes Three”の話しが保育園で子供たちに人気の話しとなっている。他のペンギンたちが子供たちをつくる季節が来て、卵を産み温めているのを見た2羽のオスのペンギンは卵に似た石を拾って来て温める。それを見た飼育員は2匹のオスがカップルだと気付き放置された卵を2羽の巣に入れる。すると2羽のオスは後退でこの卵を温めやがて赤ん坊が生まれ彼らはパパになりTangoと名付けられた。イギリスではLGBTへの理解も進み、保育園でもこうした話が自由に子供たちの会話に登場するという。この本を読んでいると、我が国の5年後あるいは10年後には同様な多様性のある外国出身の人々が大勢学校や社会の中に入り込んでいるのではと考えざるを得ない。此の所、街には外国人が普通に歩いており携帯電話で話す言葉は必ずしも聞いたことがある言葉とは限らない。ロシア語、ベトナム語も、多分フィリピンのタガログ語も交じっている。
どんどん社会が多様化しているわけで、先日のラクビーワールドカップでも日本チームの略半分外国出身者であり、また外国から来た観戦者と一緒になって応援する姿がテレビで放映されていた。2060・70年代には純粋の日本人等は珍しくなるかもしれない。多様性の中で新たな可能性が開けているのではないかと思うこの頃である。
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